国際協力を始めたい方への情報(JICHA会員からのメッセージ)

「小児科医師と国際保健 ―グローバル化する社会で」

 国立国際医療センター国際医療協力局医師 江上 由里子先生

 国際化が急速に進み、地球規模で保健問題が共有されるようになった。東アジアでのSARSや鳥インフルエンザの流行は記憶に新しいが、その他にもHIV・エイズの流行など世界の健康問題が日本の健康問題に直結するという脅威に対して、各国が共通の課題とする安全な国民生活の実現にも国際的に協調して取り組む必要性が認識されている。
 世界の全人口の85%は発展途上国で生活しており、その医療水準やその国民の健康状況は日本の昭和初期や戦前と同様に乳児死亡率や妊産婦死亡率が高く、感染症が蔓延している一方、同時に生活習慣病が日本や各先進国が経験したよりも急速に増加しているという現状から、日本が経験してきた公衆衛生の向上の過程を検討して、現在の発展途上国の状況に反映させて協力することも日本が果たすべき国際保健の役割の一つと考えられる。
 日本政府は政府開発援助 (Official Development Assistance, ODA) 大綱に掲げられた課題や国連ミレニアム開発目標に沿って、国際機関や各国と協力して感染症など共通の課題に取り組むとともに、途上国の自立を目指した制度や人材作りを行っている。同時に日本の多くの医療関係者が、非政府組織 (Non-governmental organization, NGO) を通じてより住民に近いところでの医療協力を行っている。
 総合小児疾患マネージメントや新生児ケアをはじめとする小児科分野に関連する国際保健の動きを紹介し、日本の小児科医に期待されている役割を共有したい。
 (日本小児科学会雑誌109(2):93, 2005年)

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この情報は、2005年4月22日〜24日 東京国際フォーラムで開催された「第108回日本小児科学会学術集会」において、教育講演E-4 (座長 杏林大学小児科 別府文雄先生)として江上先生が報告されたものを、報告者の許可を得て掲載しています。