日本小児科学会 分科会活動実績報告

分科会活動状況 分科会名:国際小児保健研究会

 国際小児保健研究会(Japan International Child Health Association:JICHA)は、1995年3月に設立され、「子ども、健康、国際」をキーワードとして小児科医を中心に、途上国における国際保健医療協力や小児保健医療に関する研究調査、活動、評価などに関する実践的研究を遂行してきた。2006年1月に日本小児科学会分科会として公認され、会員数は2008年4月現在で約180名にのぼり、アジア、アフリカなど世界中に会員がいる。国際協力機構(JICA)、WHOやユニセフなどの国際機関、緊急災害人道支援など国際協力の現場経験をもつ会員と同時に、在日外国人医療や海外渡航者の予防接種やケアに従事する開業医や地域病院医師も多い。

 国際小児保健研究会は、「国際保健活動の計画・実施・評価に関して自由に議論する場を提供し、世界の子どもたちの健康のために邁進する」という目的のもと、日本小児科学会総会および日本国際保健医療学会にあわせ年2回の定期研究会を開催している。

 2007年度は、第31回国際小児保健研究会(京都)において「多文化共生時代の小児科診療 :在日外国人小児の診療経験から」として、江原伯陽氏、諏訪美智子氏、ルルデス・エレーラ氏の講演を行った。第32回国際小児保健研究会(大阪)は、「途上国における母と子のための新生児保健医療」をテーマに、高橋謙造氏、吉池信男氏、小原ひろみ氏、仁志田博司氏、中野貴司氏、渡邉洋子氏らによるワークショップを実施した。また、2008年1月には、文部科学省在外教育施設派遣教員内定者等研修会として、本研究会員がチームを組んで海外の日本人学校派遣者とその家族を対象に「赴任地における健康対策」に関する講義と相談を実施した。

 今後も、学術的な調査研究と現場での実践活動の有機的な連携をめざすと同時に、国際協力に関心をもつ小児科医のキャリア・パスの相談など人材育成に関する活動も充実していく予定である。関心ある方の入会を期待したい。

執筆者:中村安秀(JICHA代表、大阪大学大学院人間科学研究科 教授)

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